今や絶滅危機動物となってしまった、ゴリラとオランウータン。

彼らが生息する中央アフリカの広大な森。

なんとアフリカの森で手付かずの部分は全体の8%のみ。

殆どの森の木々は、木材会社によって伐採されてしまった。

木材の多くはヨーロッパ向け。



中央アフリカでは、ゴリラやオランウータンを食す人がいる。

彼らは代々この様な野生動物を食べてきた。



ヨーロッパ人は言う。

「アフリカの自然・ゴリラやチンパンジーなどの野生動物が消えるのは悲しい。
彼らは人間に近い知能の高い動物だ。食べるべきではない。」


アフリカ現地の人々は言う。

「ゴリラやチンパンジーが減っているのは、自分たちが食べているからではない。
大規模な伐採で、動物達の生息地である森が失われているからだ。」


「ヨーロッパ人は自国にいて、アフリカの自然や大型類人猿が消えることを
悲しいと言いますが、それは偽善だと思います。
彼らは自分の生活をこの自然破壊と結びつけようとしない。
自分たちの家具は、アフリカの森林伐採で得られた木材だなどと、夢にも考えたことはないでしょう。」


ゴリラやチンパンジーを食さないヨーロッパ人、そして私達日本人にとっても、
この様な動物を食べると言うことには、多少なりとも抵抗を感じるかも知れません。

しかし明白なのは、この様な類人猿の数が激減した最大の原因は、
大規模な伐採により、彼らの生息地である森が失われたことなのです。

● サル肉を食べてきた人々

中央アフリカ、カメルーン共和国の首都ヤワンデ。
毎日郊外から列車が到着し、違法である野生動物の肉が運ばれてきます。
その肉は、森に住む野生動物のものです。
その量毎日約4トン。

中には、捕獲を禁止されている野生動物の肉も含まれています。
違法とされるこのような行為、しかし取り締まりがなされていません。

役人は、これらの行為は許されないことであるとはしながらも、
なかなか手を打たずにいます。
現在の貧しい生活環境に置かれたカメルーン人に対して、
これらの行為が悪いことだと理解させることが難しいと思っており、
この様な行為・生活が当たり前のことだと認識しているのです。
政府における、法の執行、対策の必要性も叫ばれています。

マーケットで売られる野生動物の肉。
レイヨウ(ウシ科動物)やイノシシなどの肉が多いですが、
霊長類の肉は珍しく高価とされています。
中でもチンパンジーとゴリラの肉は最高級品とされています。
これらの肉を食べる文化・・とはいえ、そう簡単には手に入らないわけです。

チンパンジーやゴリラを捕獲する際に、いわゆる余ってしまったその子ども達は、
ペット動物として売られますが、売れ残れば食肉となります。
(子供の肉は、体が小さいので大した肉にはならないようですが・・)

レストランでも振る舞われる、ゴリラ・チンパンジー料理。
店の女性は、サル肉は違法と知りながらも、手に入るときはこれらの肉を購入します。
ワシントン条約で取り締まられているとはいえ、先祖代々食べてきたサル肉料理。
彼らはこれからも、サル肉料理は食べ次がれていくだろうとの考えです。


● 急激に進む森林破壊

中央アフリカの広大な森林に生息する類人猿。
しかしこの森林伐採が加速度的に進められています。
農地として使用される場合もありますが、その殆どは林業による無秩序な森林伐採。

この無秩序な伐採がもたらす悲劇とは?

伐採した木々の輸送路確保のため、森の奥地にまで作られてしまった大きな道。
つまり、密猟者達にとっては、以前行くことの出来なかった奥の森まで行けることに
なったわけです。
それだけではありません。

木材用のトラックに乗せてもらい、奥地まで行って狩りをする。
捕らえた猿を、伐採された木材の上に積み上げ、
そのまま市場や街まで一緒に肉を運ぶのを手伝ってもらう。
「仕事が楽になった」
と密猟者は言います。

ゴリラやチンパンジーを絶滅の危機に追いやった最大の原因、森林伐採。
それを行う木材会社、林業労働者の行為が、密猟者の活動まで助け、
その流通にまで関わっている悲劇的な現状。

中央アフリカでゴリラ狩りは、タンパク源が必要な奥地の村だけに許されていますが、
今ではそんな奥地にも密猟者が存在し、森の動物を殺し、売って金を稼ぐのです。


● 欧米とは違う現地での生活

アフリカの人々は、生活するために、生きていくために狩りをしています。

豊かな国の人々の様に、サルを守る余裕などないほど生活も貧しいのです。
生活が豊かならば野生動物を殺す必要はないだろうといいます。

しかも現在のこの急激な森林伐採により、彼らの貴重な資源・木々が失われており、
発展への明るい未来も閉ざされつつあります。


● 食すべきではない・保護すべき霊長類

人間に遺伝子が近く、DNAの99%が人間と同じとされる大型類人猿。
そんな私達人間に一番近い動物である彼らは、食肉にすべきではない
貴重な動物だと、欧米の人々は考えます。

実際にチンパンジーを見れば、チンパンジーがいかに人間に近いかを知り、
人々は衝撃を受ける・・チンパンジーを食べるというのはもはや倫理的問題であり、
また、現在絶滅の危機に立たされているチンパンジーの状況を多くの欧米人が
認識していると、専門家は言います。

この様な動物を食してきたという文化についても、文化は変わるものであり、
このアフリカにおけるサル肉文化も変わるべきだと、専門家は主張しています。
かつて行われていた人身売買・人間の奴隷制。そして食肉文化。
しかしこれらは残酷な行為であると今では認識されています。
類人猿は感情を持ち、人間にこれほど近いのだということが分かった今、
彼らを食べるという文化はなくなるべきだと主張しています。


● 野生動物保護施設

現在欧米は、類人猿の保護に向かって動き出しています。
アメリカでは法律制定への動き、そして欧州議会にも署名や法律制定嘆願書が
届けられています。

そして現地では、保護施設が運営されています。
主に、狩りの際に生き残った・また怪我を負った霊長類が保護されています。
親を目の前で殺された動物達。
ゴリラは親が殺されたことを20年経っても忘れないのだそうです。

この施設の仕事として、現地の人々に霊長類の貴重さを伝える、
ということがあります。
現状を人々に認識してもらわなければ、類人猿は30年ほどで絶滅するだろう、
と施設で働く人は懸念しています。



● 現地の人々とのギャップ

保護施設では、24時間態勢でゴリラの子供が保護されています。
ミルクが与えられ、紙おむつが当てられています。

24時間態勢での世話というのは大変なことであり、
この仕事は現地の住民に託されることもあります。
その場合、週に1万円が支払われます・・これは現地の人にとっては大金です。
ですから、もちろん人々はこの仕事を受けるわけですが・・

彼らは矛盾を感じています。
紙おむつを当てたゴリラ。
現地の子ども達は紙おむつなんて当てていないのです。
そのゴリラの姿はヨーロッパ的であるといいます。

「なぜ白人は私達に彼らの生活を強要するのか分からない。」

双方の考え方に大きなギャップが生じているのです。

● サルは単なる動物

「サルが人間に近いなんてとんでもない。
 サルは人間とは違う、単なる動物に過ぎない。」

レストランでサル肉を調理する人・それを食べる人、
どちらにも罪の意識などありません。
彼らは先祖代々の習慣に従い、サル肉を調理し、食べているのです。

どの国でもそれぞれの食習慣を持っています。
裕福な国から指導されたからといって、この食習慣は変えられないと、
彼らは言います。

サル肉は牛肉より良質で柔らかく、特にお年寄りに好まれるのだそうです。
子ども達もサル肉を食べ続けていくだろう、と彼らは言います。


● サルが減っているのは森林伐採のせい

レストランでサルを調理する女性は言います。
今日1頭殺したとしても、サルは1日数十頭生まれるのだ。
だから問題はない。

サル料理を食べている男性の言葉。
「サルが絶滅寸前なら、市場には出回らないはず。
 今サルの数が減っている一番の原因は、木材会社が森林を伐採し、
 サルの住処を奪っているからだ。」

貴重とされる類人猿の肉。
現地の人々もいつでも食べれるものではありません。
先祖代々食べてきたこれらの肉ですが、乱獲によるものではないのでしょう。
しかし森林伐採は規模が違いすぎます。
サルの数が急激に減る、というのは彼らの住処を奪ったことの結果なのでは
ないでしょうか?

● ハンターを辞めた男性

1990年代後半、ゴリラに絶滅の危機が迫り、ゴリラの密猟を辞めた男性。
霊長類学者とゴリラ狩りを止める契約をし、今は保護活動をしています。

村民達に、ゴリラ狩りを止める様説得してまわります。
しかし村民達にとって、ゴリラの肉は数少ない収入源なのです。
そこで考え出されたのが、観光客向けのプロジェクト。
ゴリラを人に馴らせば、観光客が訪れる様になる・・
観光客が来れば村も発展し、将来的展望もある・・
そしてなにより、ゴリラ狩りを止める良い方法になる。
このプロジェクトに向かって、村民達と共に動き出しました。

村民の中には、元ハンター達もいます。
彼らはゴリラをよく知っているので、ゴリラの住処をとらえやすいのです。


● ゴリラと生きてきた人々

しかし、今まで狩りの対象であったゴリラと、突然仲良くなると言うのも、
なかなか難しいことです。

プロジェクトに向けて活動が始まった矢先、ある村民の作物がゴリラによって
荒らされました。
この村民は言います。
「ゴリラと仲良くなるなら、作物を食べるなと言ってくれ。
 食料を全部荒らされた。私達は一体何を食べればいいんだ。」

村民達は、白人への怒りを露わにします。

「私達は、この森でゴリラと一緒に生きてきたのだ。
 私達が彼ら・彼らの食料を食べることもあれば、
 彼らが私達の食料を食べることもある。
 こうして私達の生活は成り立ってきたのだ。

 欧米人は、自然への憧れからゴリラを好む。
 テレビで映像を見て、この素晴らしい動物を守らねばと言う。
 でも実際、ゴリラと共に暮らすということについて何も分かっていない。

 私達にゴリラを守れというなら、代わりの食料をくれ。
 ゴリラを守ると言うことは、周辺住民の生活も配慮しなければいけない、
 ということだ。」


● 元ハンターの苦悩

外国の援助金が底をついた矢先、彼とその仲間達は、アフリカでは初めて
と言われる、野生ゴリラの生活の様子の撮影に成功しました。
これでまた援助が出され、暫くは生活して行けそうとのこと。
しかし、いつ援助金が尽きるかも知れず、厳しい現状だと言います。
観光客もなかなか来ません。

現在は保護する側にまわった元ハンター。
密猟を再びやる気はないと言いますが、それでもゴリラへの見方は変わらない・・
長年、森に住む動物を殺して食べてきた、ここでの暮らし。
やはり肉は肉。保護する側にいても、ゴリラを人間の親戚とは思えない。

また、欧米側の姿勢にも疑問を感じています。
ここではここなりの昔からの生活があった・・それを突然止めろと言う。
では何を食べるのか?止めろ、だけではなく、そして動物のことだけではなく、
ここで動物と暮らしてきた人々のことも考えて欲しい・・と。

アフリカ側と欧米側での様々な面でのギャップ。
様々な見方があるでしょう。
しかし私の個人的意見としては、欧米側の行動に疑問を感じてしまいます。

人間に近いチンパンジーやゴリラ。
私達日本人も含め、欧米諸国でもこの様な動物を食べる習慣がなかった。
韓国で犬や猫を食べる習慣があるといえば、欧米国がそれに対して反発する。
そして、アフリカでチンパンジーやゴリラを食べると聞けば、それに対して反発する。
彼らが食べる牛や豚や鶏のように、生産が容易な動物なら、大量に作って殺して捨てていいのか?
自分たちが家族と認めている犬や猫なら守るべき。
絶滅危機なら守るべき。
それはそれで分かりますが、しかし、今回のこのアフリカの問題については訳が違います。

問題は、チンパンジーやゴリラが絶滅の危機にあるのは、欧米諸国の森林伐採が一番の原因ということです。

最近になって、特に先進国が原因となることが多いですが、

「動物を散々自分たちの利益のために・欲のために捕らえまくり、殺しまくり、使いまくり、
 そしてそれ故、当然ながら数が減り、さて絶滅の危機だと知った途端、
 突然立派な施設で、手厚く手厚く保護をする。」

こんな事ばかりな気がします。
人間の手で手厚く保護して、繁殖を促して、その子供が生まれることに大きな期待を寄せるよりも、
動物が自然の状態で、絶滅の危機にもならず、自然なペースで死んだり子供が生まれたりする、
これが一番動物にとって、幸せというか、自然なことだと思います。

先祖代々、ゴリラやチンパンジーと暮らしてきた中央アフリカの人々。
どちらも簡単に見つかるものでも捕まるものでもない。
昔から貴重な食料として、大事に食べてきたのでしょう。
そこに大量生産も大量消費もなく、それらの動物を食すことによって、
森の動物の数が激減することもなかったでしょう。
時には動物が人間の畑や作物を荒らすこともあったりして、
お互い自然のバランスをとりながら共存してきたのでしょう。

そのバランスを崩したのは誰か?
言うまでもなく、無秩序に、そして急激な速さで森林を伐採し続けている欧米諸国、
そして木の消費量が非常に多いとされる、この日本などの先進諸国ではないでしょうか。

木材を運ぶために作られた、森の奥深くまで長く長く続く道。
以前は人の立ち入ることの出来なかった、いわば動物達だけの神聖な場所に人々が入ってきて、
彼らの住処・命の恵をもたらす木々を伐採しまくる。
そして、彼らを肉用に捕獲するハンター達までも容易に入って来れる様になってしまった。

これだけ自然を・動物を・そして現地の人々の暮らしを無視した、無秩序な伐採をしていれば、
ゴリラやチンパンジーの数が、その伐採の速さに比例して激減するのも当然なことでしょう。

さて当然ながら激減してしまったゴリラやチンパンジー。
国際規則に則って、ワシントン条約でゴリラやチンパンジーの捕獲が禁止される。
「もうこれらの動物を捕ることは違法ですよ」
「ゴリラやチンパンジーを食べちゃだめですよ。彼らは守るべき動物なのですよ。」
「彼らは人間に近いんですよ。」
アフリカの人々に告げられる。

アフリカのとある村の女性が、白人への憤りを表現していたのも大きく頷けます。

牛に豚に鶏に卵に、それらを大量生産して、食べ物が余りに余っている先進国にしたら、
ゴリラやチンパンジーは、人間に近い可愛い動物なんだから食べちゃだめ!
なんて言える余裕がある。
でも、彼ら動物が生息するアフリカでは、その地域なりのルールがあったのだ。
それが突然批判される。

小さな村に、巨大な木材が積み上げられた大きなトラックが、爆音と共に通り過ぎる。

以下番組での言葉より


裕福な国の人々には、遺伝的に最も人間に近い彼らを気に掛ける余裕があります。

 しかしアフリカの現実を知りません。

 貧しい人々の優先順位は裕福な国とは違います。

 それを認識しないことには何をやっても解決にはなりません。

 手遅れになってしまうかも知れません。


「類人猿を心配する国々と中央アフリカでは、文化が全く異なる。


 サル肉を食べるのを止めろと言うだけではムリだ。」


「外国の消費者にも責任がある。


 なんの疑問もなく木材を買う。

 それがヨーロッパの企業による森林破壊を招いている。

 企業に変化を求めるのではなく、そんな活動を止めさせる圧力を掛けることが大事。

 自然破壊による木材は買いたくないと声を挙げるべき。それがあなたのすべき事。



現在、EUの援助を受けたエコガードたちが、国立公園周辺を監視して周り、
商売目的のハンターに検問を行っています。
しかしこのエコガードは35人だけであり、全体を監視するには2000人は必要とされています。
エコガードの活動は貴重でしょう。
しかし一番すべき事は、無秩序な森林伐採を止め、トラック用に森の奥まで作った道を閉鎖し、
動物が暮らせる生息地である森を、そっとしておくことだと思います。

現在、ゴリラ・チンパンジーそれぞれ10万頭以上が生息していますが、
年間、それぞれ3000頭・4500頭が殺されています。
このペースが続くならば、どちらも数十年で絶滅してしまうと言われています。

手遅れになってしまうかも知れません。


この記事は、Animal Planetで見た、「エイプハンター」 という番組に衝撃を受けて、
この番組を参考にして書いたものです。
動物の様々な問題を知ることが出来る、大変貴重な番組です。
ぜひ下記リンクからご覧になってみて下さい。


Animal Planet

動物の情報満載の、動物チャンネルです。とても勉強になります。
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