●工場畜産の現状・過剰畜産による食糧問題●
62億人という地球人口で、飢餓状態にある人の数は8億人といわれています。
飽食・グルメ、毎日山のような食糧を捨てる日本のような国もあれば、餓死で毎日多数の人が死ぬ国があります。飢餓問題の要因としては、貧困・天候・戦争など色々上げられますが、現代の過剰畜産もその要因のひとつとなっています。

実際、全ての人々に行き渡るほどの穀物生産はあるにも拘らず、その多くは畜産動物の飼料となっているのです。牛肉1kgの生産には約16kg、豚肉1kgの生産には約7kg、鶏肉1kgの生産には約3kgの飼料穀物が必要とされています。トウモロコシを例に取れば、世界年間生産量6億トンのうち4億トンが飼料となっているということです。

また、発展途上国の土地は先進国によって畜産用に次々と切り開かれていき、中南米では日本の面積の半分に匹敵するほどの土地が農地開発されました。自然農法と違い、工場畜産では動物の糞尿は汚染物となり、農地も短い期間で使い物にならない土地になるということです。

先進国が発展途上国の土地を次々と開発し、大量の穀物を畜産動物に与え、その大量の肉を食する。
一方で途上国は搾取されるまま飢餓状態にある・・・あまりにも悲惨な現実です。
以下 “ヒトと動物(朔北社)” からの抜粋です。

「人類は、ほんとうに肉食が好きなのであろう。経済的な事情が許せば肉食率を高めることは歴史的事実であり、それは現在もなお進行している。その証拠に、開発途上国の肉食率がじわじわと高まっており、このまま穀類から畜肉への移行が進行すれば、たとえ人口増加が止まったとしても、やがて深刻な食糧危機が訪れることになる。

これを本気で阻止しようとするのであれば、肉食率の上昇を抑える以外にない。草ではなく、トウモロコシや大豆などの穀類によって家畜を飼育するならば、ニワトリの飼料効率がもっとも良く、ついでブタ、もっとも悪いのがウシであるが、いずれにしても穀類を直接食べるよりも効率が悪い。その結果、肉食率が高く、食べる量も多いアメリカ人は、1年に800キロから900キロの穀類を食べていることになり、200キロのインド人の4倍以上にもなる。日本人やイタリア人は400キロ程度であるため、アメリカ人とくらべればまだ少ないが、かつての日本人とくらべれば過去最高の水準であろう。

栄養学的には、これ以上肉食率を高める必要はない。むしろ動脈硬化や心臓病を予防する観点からは、発育期以外の肉食を抑制したほうがよいことは間違いない。栄養不良には正反対の二種があり、飢餓による栄養不足と、
食べ過ぎによる肥満がある。先進国における栄養不良として問題なのは、むしろ後者の肥満である。

それは自国民の健康を損ねているだけでなく、世界の食糧危機を促進させている。じわじわと肉食率を高めている開発途上国に、肉食を抑えろという権利は先進国にない。もし言いたければ、自らの肉食率を抑制させてからのことであろう。しかし、先進国のなかである程度の発言が許される国があるとすれば、それは1000年以上の永きにわたって肉食を抑制してきた歴史をもつ日本ではないか。他の先進国に猛省を促しつつ、自らも目標を定めて肉食率の向上を抑制することができるならば、日本は世界の手本となる筈である。

しかし残念ながら、自体はまったく逆の方向を向いている。そもそも、かつての日本人がもっていた「肉食は原罪である」という認識が現在の日本人に弱すぎる。もっとも嘆かわしいのは、日本のテレビや雑誌のグルメ記事である。これは露骨な性の描写に匹敵するほど、罪が深いとわたしは考えている。食欲の過剰刺激は、人の健康を損ない、世界の食糧不足を加速し、さらに食用に給されるために屠殺される動物を増やすことになる。」